2019年12月9日月曜日

飛騨市民病院の地域医療構想再検証について

飛騨市民病院の地域医療構想再検証について
(2019年12月4日飛騨市議会、洞口議員質問への市長回答)

【要約】
・飛騨市民病院の守備範囲で総人口は減少するが
2025年、75歳以上は2800人程度と当面の医療需要は
むしろ増加傾向。
・高齢世帯や高齢独居世帯の増加に対応していくため
医療介護福祉予防そして基盤となる生活が一体となった
地域包括医療ケア事業体制を今以上にしっかり整える必要がある。
・介護医療院への転換を計画中の「老人保健施設たかはら」との役割分担進めながら、将来を見据えた飛騨市民病院の適正な病床数を来年度中に計画をまとめたい。
・経営改善による経常収支の黒字化の実現において診療科目の見直しは避けて通ることができない。今後外来診療科の検討を進めていく。

【詳細】{興味のある方のみ。長文失礼します}
1.人口
・神岡町の2019年10月の人口と5年前と比べると
総人口で11.1%減少。ただし75歳以上の人口だけは
2.8%増加。2019年10月の75歳以上人口2171人から
2025年75歳以上人口は2200人程度と見込。
・上宝町奥飛騨温泉も5年前と比べて総人口が
9.6%減少ですが75歳以上人口では0.8%の減少。
2019年10月75歳以上人口が637人ですが
2025年には630人程度と見込。
・飛騨市民病院の守備範囲で2800人程度の医療需要がある。
・総人口は減少ですが、当面の医療需要はむしろ増加傾向。
・高齢世帯や高齢独居世帯の増加に対応していくため
医療介護福祉予防そして基盤となる生活が一体となった
地域包括医療ケア事業体制を今以上にしっかり整える必要がある。

2.病床
・平成2年新築。一般病床82床、結核病棟26床、計108床の病院。
・平成8年に結核病棟廃止、一般病床17床増床し99床。
・平成20年にケアミックス型病院となり
一般病床は58床、(療養病床)33床、計91床。
・平成29年に一般病床の8床を地域包括ケア病床に。
地域包括ケア病床は在宅に戻る準備、訓練をする機能。
・平成30年8月4床転換で現在地域包括ケア病床が12床。
・今後8床を転換し、20床とする予定。

3.病院の状況
・深刻な医師、看護士、介護人材不足。
看護士一人欠けても病棟がなりたたない逼迫状況。
・将来的に一般病床として急性期医療を維持するには
人材の部分で困難が予想される。
・介護医療院への転換を計画中の「老人保健施設たかはら」との役割分担進めながら、将来を見据えた適正な病床数を来年度中に計画をまとめたい。

3.医師確保
・神通川プロジェクトや健康町づくりマイスター養成講座等によりまして富山大学総合診療部とのつながりを深めることができ今継続的に医師の派遣を受ける受けられる道筋ができてきており後期研修医のドクターを常勤で一人派遣していただいている。
・黒木病院長のつながりにより現在神奈川県内の病院から
後期研修医一年単位での派遣の話も出ている。
・12月1日付けで県に申請した「へき地医療拠点病院」指定をを受けることができ岐阜大学の地域枠の医師から
飛騨市民病院を選んでもらえる可能性が出てくる。
・研修医住宅(2階建て居室5室交流ルーム1室)令和2年3月末までに引渡し受け予定(佐藤病院管理室)。
・医師住宅も老朽化が進んでおり一部の派遣医師から
「居住環境は病院選びに影響する」との意見が出ているので今回の研修住宅の手法検証する中で今後整備等の検討を進めていく
(佐藤病院管理室)。

4.看護士確保
・富山大学、中部学院大学との連携という道を模索。
看護学生の研修受入。これを足がかりにしまして
看護職員の採用活動を大学に向けて展開。
・現在使用している研修医住宅については
今後看護学生の研修や外国人研修生の受入での使用を
見込んでいる(佐藤病院管理室)。

5.財政状況(佐藤病院管理室)
・一般財源の繰入と収支の状況は
平成30年度は市民病院収益勘定で1億6354万8000
資本勘定で1418万7000円繰入。この金額は
総務省の定める繰入基準の範囲内。
・収益勘定は、病院の事業活動による収支を仕分けする勘定科目で繰入金の内で不採算医療に宛てたものが1億2787万8000円と総額の78%を占めております。
・資本勘定は企業における財産を仕分けする勘定科目で
繰入金の全額が企業債償還金の元金に当てる分となります。
・平成30年度は地域包括ケア病床への転換4床を実施し
地域包括ケア病床が12床となったことで収益率が高まったことに加え外来、入院を合わせた患者数が4632人増加し
収入は前年度比の5860万1000円の増収。
・しかし日当直が時間外手当となったことによる支給額の増加分や外来診療12科を支える非常勤医師報酬
また業務のアウトソーシングによる経費の増加等により
費用も同様に増え経常収支では5259万4000の純損失を計上。
・日当直は本年度10月より労働基準監督署の許可が下りたこともあり支出面で今後大幅な改善が期待されるが深夜時間帯の患者対応はこれまで通り時間外勤務手当が必要となること
また医療従事者の負担軽減の観点からも時間内の受診をお願いする。
・非常勤医師は月5回勤務の場合で一人あたり月額35万円から75万円程度の報酬が発生しており経営改善による経常収支の黒字化の実現において診療科目の見直しは避けて通ることができない。今後外来診療科の検討を進めていく必要がある。
・僻地医療研修医の受け入れの初期臨床研修2年目の医師の地域医療研修受け入れは非常に高く評価されているが、指導医が常勤3名の体制であり満足度の高い研修を提供するには研修医の人数は常時3名以内が適当であることから年間受入可能人数は現状の30数名がほぼ限度である。

以上